ポーランドズロチが高くなるケース
アメリカの戦略
アメリカがロシアやヨーロッパ大陸において持っている関心とは、特定の国や勢力にヨーロッパ地域を支配させないことにあります。20世紀にアメリカは、ヨーロッパ統一をもたらしてアメリカの利益を脅かす可能性のあるドイツとソビエト連邦の同盟を阻止しようとして、3回行動を起こしています。
具体的な一例としては、第二次世界大戦に介入し、イギリスとソビエト連邦に物資を供給しています。さらに1944年には軍事的にも参戦して西ヨーロッパに侵攻し、ドイツ軍を叩くだけでなく、ソビエト連邦軍の侵入も阻止したのです。また、1945年から1991年の冷戦終結までは、アメリカはソビエト連邦によるヨーロッパ支配を阻止するために莫大な資源を投じています。
現在も、アメリカの方針は同じです。ロシアの勢力圏がヨーロッパにおよぶことを阻止したいと考えていますし、ドイツが再び軍事大国となることも阻止したいと考えているのです。
ドイツとロシアが同盟に向かう場合、アメリカはポーランドにテコ入れする
仮にヨーロッパ最大の経済大国であるドイツと、資源国家ロシアが同盟に向かうならば、アメリカにとってはポーランドやハンガリーなどの東ヨーロッパの国々が重要な意味を持ってきます。とくにポーランドの規模は大きく、戦略的にも重要な位置にあります。
ポーランドは、ドイツとロシアの両方と国境を接しており、フランスの大西洋岸からロシアのサンクトペテルブルクに至るまで伸びる北ヨーロッパ平野の中央に位置しています。このためポーランドは、ドイツとロシアが同盟を結べば、両国の決定には従わざるをえません。
しかし、この状況はアメリカにとっては痛手となります。ロシアとドイツからポーランドの独立を守ることが、アメリカの利益となるのです。ポーランドは昔からドイツとロシアの喉に突き刺さった小骨であり、しっかりと刺さったままの状態にしておくことがアメリカの利益となるのです。
ドイツとロシアが手を結んだ場合には、アメリカはポーランドに援助を与えます。そして自前の軍事力を増強させるのです。また、経済援助をとおしてポーランドの経済基盤を強化し、ポーランド企業がアメリカ市場へ進出しやすいよう配慮を与え、ポーランド経済の経済成長の環境を整えるのです。
アメリカは冷戦中、西ドイツや日本、韓国に対してこの方法で支援し、共産主義勢力に対抗するよう仕向けたのでした。FXトレーダーの方におすすめしたい思考法は、FXトレードをするにあたって常に念頭に置くべきことは、政治が常に経済よりも上位に優先されるのであり、政治によって経済が動くということです。
つまり、このような政治情勢に至った場合には、アメリカがポーランドに経済援助をする確率がきわめて高いため、FXトレーダーの方へはポーランドズロチを買うことを、おすすめしたいと思うのです。
ポーランドズロチが安くなるケース
すでにロシアとベラルーシは軍事同盟を結んでいます。さらに、ウクライナが再びロシア陣営に加わるようなことがあれば、ロシア軍は旧衛星国であったポーランドに強い圧迫を加える確率は高まります。そして、この状況をドイツが黙認し、アメリカから援助を受けられない場合には、ポーランドは独立国の立場を失う可能性さえあります。
第二次世界大戦時には、ポーランドはドイツとソビエト連邦によるポーランド分割の密約により、領土を失いました。仮に、21世紀の現代においても同じ政治情勢が生まれるようであればポーランドの国力は引き裂かれる可能性が高まります。そうなると、ポーランドズロチの価値は暴落すると予想されます。
FXトレーダーの方は、ポーランドを取り巻く状況を注視し、アメリカがポーランドにテコ入れするか否かを注視することをおすすめします。そして、アメリカがテコ入れしないのであれば、ポーランドズロチは大幅に下落する運命にあるといっても過言ではありません。