追加証拠金とは
2015年1月のスイスフランショックでは、一瞬でボラティリティが急上昇し、為替価格は大暴落となって多くの個人投資家が追証を抱えることになり、中には、1億円以上もの追証を抱え、結果的にFX会社に多額の債務を抱えることになった投資家もいました。
この追証こそが、追加証拠金のことで、証拠金取引であるFXトレードでは、トレードによる評価損が大きくなりFX会社の設定する証拠金維持率を下回った場合には、追加で証拠金を入れる必要があります。追加証拠金を指定された日時までに入金しない場合には、ポジションはすべて強制決済されることになります。
問題なのは、スイスフランショック時のようにボラティリティが急上昇する際には、FX会社に入れている証拠金以上の損金が発生することがあり、損金を入金できない場合にはFX会社に対する債務となってしまいます。一攫千金で大きな利益を狙えるというメリットのあるFXトレードですが、相場が急変動した時に、自分のポジションと反対方向に相場が動いた場合には、証拠金だけでは損金を賄えないケースもあるのです。
証拠金以上の損金が出ないようにストップロスを入れておくという方法もありますが、スイスフランショック時には、一瞬で大きく価格変動が起きてしまい、価格が成立しない状態となりストップロスは機能しなかったのです。FX初心者の場合には、追証(追加証拠金)のことを言葉で説明はできても、このような事実を知らない人も多いので十分な注意が必要です。
資金管理の重要性
2015年1月のスイスフランショック以外にも、このような事態は数年ごとに発生しており、日本では東日本大震災時やリーマンショック時に同様の問題が発生しています。FXトレードの怖さとは、しっかりとルールを守ってコツコツとトレードをしていても、大きなレバレッジをかけていた場合には、多額の追加証拠金が発生することがあることです。
追加証拠金の発生を防ぐためにおすすめなのが資金管理であり、常に余裕のある証拠金維持率を保つことで追加証拠金の発生を防ぐことができます。FXトレードの資金管理とは、十分な証拠金を準備して適度なレバレッジをかけるということです。
日本のFXトレードには金融庁によるレバレッジ規制があり、個人投資家の場合にはレバレッジは最大25倍となりますが、これは最大で25倍ということであり、実際には少額の証拠金で高いレバレッジをかけると証拠金維持率は低くなります。つまり、おすすめなのは証拠金とレバレッジの関係から証拠金維持率を高く設定しておくことで、相場の急変動に備えておく必要があります。
証拠金維持率にこれなら安心という数字はありませんが、一応の目安としては証拠金維持率300%以上としておくことがおすすめで、300%を割り込んでくるようなら証拠金を増やすか、ポジションを減少させるなどの対策が必要です。FX会社のほうにも、追加証拠金が発生する前にマージンコールなどで警告が発せられますし、証拠金維持率が一定の数字に達すると自動的に強制決済(ロスカット)される仕組みとなっています。
ただし、現実的には、マージンコールの連絡があるようだとそのトレードは失敗トレードである可能性が非常に高くなりますし、ロスカットでは、スイスフランショック時のようなケースでは役に立たないことがあるのです。
FXトレードでは、すべてをFX会社に依存するのはリスクが伴うことになり、しっかりとした資金管理が重要で、証拠金維持率を高めに維持すること、ストップロスは必ず設定しておくこと、十分な余資金を準備しておくこと、などが重要です。FXトレードとは、レバレッジを利用する限りはハイリスクトレードとなりますので、借金して証拠金を用意することは論外ですし、あくまで十分な余資金を用意する必要があり、これらの資金管理が最大のリスクヘッジとなります。