主要国の金融政策
FXトレーダーにとっては、世界の主要国の金融政策や経済情勢は常に気にかかります。FXトレードの始め方としては、現在世界経済がどのような状況にあり、来年2018年はどのように動いていくのかを分析して予想することが重要です。
現在、世界ナンバーワンの経済大国であるアメリカは、景気が堅調に推移していると判断して金融引き締めに動いています。金利を引き上げていますし、来年には買い上げた資産を市場に放出すると予想されます。しかし一方では、アメリカ経済が好景気となってからすでに8年目に入っており、景気循環論の観点に立つと、2018年の後半には景気後退に陥るという予想もでています。
一方、ヨーロッパ経済は堅調に推移しており、ECBは数ヶ月以内に金融緩和を停止する決定をくだすと予想されています。そして日本経済はデフレ脱却が遅れており、まだ数年間は金融緩和が継続すると予想されています。
このように、主要国の金融政策が同一歩調をとらなくなっているのが現状です。過去の事例では、主要国の金融政策が一致しない状況下で、為替相場が大きく上下に変動するのです。今後のFXトレードをするにあたっては、為替レートの大変動の発生に注意する必要があります。
主要な通貨ペアはこれからどのように動いていくのか
ドル円
2017年現在、アメリカ政府は日本を含めた複数の国を為替操作に関する監視リストに入れています。日本のことは為替操作国として認定はしていませんが、金融政策をとおして円安に誘導しようとしているのではないかと疑念を持ち、監視しています。あまりにドル高が進むとアメリカの輸出産業が打撃を受けるため、ドル高円安の過度な進行を阻止したいのだと思います。
そのためドル円の通貨ペアでいえば、2015年につけた1ドル120円台にまで円安が進む可能性は低いと予想することができます。ですから、これからFXを始めるトレーダーへは、ドル円トレードの始め方としては、ドル高円安の方向へ為替レートが動いているときに円高転換したタイミングを狙うことをおすすめします。
具体的には、2017年10月第一週の時点では1ドル113円台をつけています。日足チャートで移動平均線やテクニカル指標を分析すると、9月12日頃には買いシグナルが点灯しています。しかしアメリカ政府の国策には日本政府は逆らうことができないのが現実であるため、1ドル120円近辺まで円安が進行するようならば、相場の転換点が迫っていると判断されることをおすすめします。
そして、ドル円の日足チャートの移動平均線やMACDがデッドクロスしたら、躊躇なく円買いポジションを持たれることをおすすめしたいと思います。
ポンド円
イギリスは2016年の国民投票で、EUからの離脱を決定しました。このため数年後には、イギリスはEUから正式に離脱し、現在のさまざまな経済上の特権を失います。例えば関税特権がなくなりますから、イギリスとEUとの貿易には関税がかかるようになります。また、世界最大の金融街といわれたロンドンからは次々と大手金融機関が拠点を欧州大陸に移転させると言われています。
EUには金融業の単一パスポート制度があり、加盟国のうちのひとつの国から金融取引業者としての免許を取得すれば、EU全域で営業を行うことができます。このため、いままではヨーロッパの金融機関はロンドンに拠点を置き、イギリスから免許を取得していたのです。
しかし、イギリスがEUから離脱してしまうため、いま金融機関は次々と拠点をロンドンから欧州大陸へ移そうとしています。イギリスのGDPの約35%が金融業といわれていますから、イギリス経済にとっては大打撃です。
このため、FXトレードにおけるポンド円の取引の始め方としては、常に念頭にポンド安円高を置く必要があることを、おすすめしたいと思います。EUから離脱すれば、イギリス経済は低迷する可能性はかなり高いと思われるためです。
ポンド円は2015年に1ポンド190円台をつけたあと、2016年には1ポンド124円台をつけました。2017年10月現在は1ポンド150円程度で推移していますが、長期的に見通せばポンド安円高の方向へ動いていくと思います。