隙のないFXトレードには基準が不可欠
隙のないFXトレードの始め方を習得するためには、まず「FXにおける基準」について深く理解しなければなりません。
たとえば、あなたの身長は何センチでしょうか?もしもその問いに真剣に答えなければならないとしたら、おそらくあなたは「つま先から頭頂部までの長さ」を測ることになるでしょう。
ここで注目して欲しいポイントは、「身長を測るためには必ず基準が必要になる」という点です。そしてそのとき基準として機能するのが、つま先と頭頂部であることは言うまでもないでしょう。
このように、何かを推し量りたいと考えたときは、まず基準を探すことになります。もちろん、FXトレードにおいても変わることはありません。
つまり、FXトレードにおけるつま先や頭頂部の存在に気づけなければ、いつまで経っても隙のない取引の始め方を真の意味で理解することは叶わないのです。自分の勘だけに頼った不安定なトレードを安易に始めてしまわないためにも、FXトレードの基準についてより深く理解できるよう努力することをおすすめします。
サポートラインとレジスタンスライン
サポートラインとレジスタンスラインの重要性
では、FXトレードにおいて基準とすべきものとは、いったい何なのでしょうか?それは、「サポートラインとレジスタンスライン」です。
サポートラインとレジスタンスラインについて理解を深めることは、FXトレードにおける自分なりの基準を獲得するという意味において、重要なポイントとなります。ただ意味もなく上下しているように見えるFX市場の値動きが、サポートラインとレジスタンスラインを意識することで、ある程度の秩序を持って動いているという点に気づけるからです。
つまりサポートラインとレジスタンスラインこそが、隙のないFXトレードの始め方を知るための肝に当たる部分であり、同時に取引の中で基準として取り扱ってもよい数少ないものだともいえるでしょう。
サポートラインやレジスタンスラインの正体
実際にサポートラインやレジスタンスラインを引くには、当然のことながらそれらのラインが何を意味するのか、その正体を知っておかなければなりません。ひと言でいえば、サポートラインやレジスタンスラインとは、「何度も値動きを逆方向に跳ね返しているライン」のことを指します。
たとえば、現在のドル円相場が1ドル110円だとしましょう。そして直近の安値は、109円50銭です。しかも109円50銭付近で下落が止まったのは、その一度だけではありません。3日前もほぼ同じポイントで下落が止まっていますし、5日前も1週間前も、だいたい同じところで値が跳ね返されているのです。
このように複数回に渡って値を跳ね返し、価格の下落を止めて反転させているポイントをつないだ線のことを「サポートライン」といいます。もちろん偶然同じような価格帯で下落が止まった可能性もあるのですが、それが複数回に渡るものであれば、ただの偶然である確率は極めて低くなるでしょう。
つまり、そのサポートラインは「何らかの理由によって機能している」と考える方が合理的になるわけです。このように、サポートラインやレジスタンスラインには、基準とするべき理由がハッキリと存在しています。
それらのラインのことを全く理解せずに隙のないFXトレードの始め方を知るのは不可能ですので、取引を始める前の段階で理解をすすめていくことがおすすめです。
基準になりやすい指標とは
高値と安値
サポートラインやレジスタンスラインについて基本的な部分は理解していただけたと思いますが、ではそれらのラインはいったい何を基準に選別すればよいのでしょうか?最もシンプルなものを挙げるとすれば、それはやはり「高値と安値」ということになります。
直近の高値と安値に水平ラインを引くのは、誰にでも簡単にできることですが、それだけでは、サポートラインやレジスタンスラインを上手に見つけることはできません。
ポイントは二つあります。
まずひとつめは、「過去に遡って高値と安値をチェックすること」です。ラインを引くためには、基準となる点がひとつでは不十分になります。少なくとも点が二つ以上あって、初めてラインを引くことが可能になるのです。そのラインがサポートとレジスタンスになる確率を少しでも高くするためにも、できれば点とする高値や安値が三つ以上になることを強くおすすめします。
そしてもふたつめのポイントは、「なるべく長い時間軸のチャートを使ってラインを引く」という部分です。
もしも同じ価格帯で複数回に渡り値が跳ね返されていたとしても、それがたとえば1分前と3分前だけであれば、その点をつないだラインがサポートやレジスタンスとして機能する可能性は極めて低くなってしまいます。
少なくとも1時間足以上のチャートを使うことでラインの正確性は高まりますので、その点を十分意識することがおすすめでしょう。
移動平均線
移動平均線は、FXトレードを行っている人の多くが強く意識している優秀なラインのひとつです。サポートラインやレジスタンスラインとして機能する確率も高くなります。
問題点はただひとつ、「何日分の平均線を利用するか」という部分だけです。これは非常に重要なポイントなのですが、「誰にも正解はわからない」というのが正解になります。どのスケールの移動平均線が機能するのか、確実なことはそのときになってみないとわからないからです。
それでは意味がない…と考える人もいるかもしれませんが、決してそうではありません。ハッキリとした正解はありませんが、傾向としては「より長いスパンの移動平均線の方がサポートやレジスタンスとして機能しやすい」ということはわかっていますので、基準として利用するならそれだけでも十分です。
移動平均線の使い方がしっかりと理解できないうちは、とても隙のないFXの始め方をマスターしたとは言えませんので、実際にトレードを始める前に十分勉強しておくことをおすすめします。
ピボット
高値や安値、そして移動平均線と並んで機能しやすいラインの基準となるのが、ピボットです。ピボットとは、前日の終値、そして同じく前日の高値と安値から計算された数値のことを指します。
基準となるピボットポイントや、サポートラインとレジスタンスラインなど、誰が見てもシンプルでわかりやすいという点が特徴です。
日本国内よりも欧米で広く知られた指標であり、そのため国内のトレーダーの中にはピボットを軽視する人もいますが、隙のないFXトレードを実践する上で、そういった姿勢は大きなデメリットになりえます。
なぜなら、大多数の通貨ペアにおいて、最も取引が活発になるのは欧州市場とニューヨーク市場が重なった時間帯だからです。したがって、より正確なサポートラインやレジスタンスラインを知るためには、ピボットという指標について十分に理解を深める必要があるといえるでしょう。
多くの人が意識しているかどうかが最も大事
サポートラインやレジスタンスラインとはどのようなものか、またそれらのラインを引く基準にはどういった指標を用いるのがおすすめなのかは十分理解していただけたでしょうか?
サポートラインやレジスタンスラインが実際に機能するかどうかは、「多くの人が意識しているか」という点にかかっています。より多くの人が反転ポイントとしてそれらのラインを意識することで、実際の値動きに反映されることになるからです。
つまりサポートラインやレジスタンスラインをチャート上に引くときは、決して独りよがりなものを用いてはいけません。たとえ自分だけが引いたラインをサポートやレジスタンスだと信じていても、それだけでは何の意味もないからです。
隙のないFXトレードを続けていくためには、サポートラインとレジスタンスラインをより正確に引けるよう努力しなければなりません。そのためにも、一刻も早く自分の中で基準となる指標を見つけ出すことが重要になります。